職場から地域に運動を広げよう

公共サービスのあり方が問われている

 

住民自治を守る闘いの一年に

 中央執行委員長  福士 博美

自治労横浜は元気に新年を迎え、決意も新たにしているところです。組合員の皆さんは如何ですか。

 中田市長のもとで「新時代行政プラン(=行政改革プラン)」が発表され、これまで私たちが共に力を合わせて築き上げてきた「公共サービス」が、そのあり方を問われています。重要課題が越年しました。

 港湾病院再整備問題は平成136月の市議会で、340万市民を代表する「市長と行政当局者、市議会」が一致して直営を決定し、資金と人材を投入してきたものです。施策を変えるための「事情変更」を、関係者間の合意づくりを無視して、新しい一部の関係者だけで、はじめから結論ありきの答申を行いました。

 特別養護施設・岩井、磯子ホームの廃止問題も、入所待ちの人が6,400人以上いるのに、今後5年間の計画でも3,500人程度の施設開設しか用意されていないにもかかわらず、「廃止」が先行しているのです。介護を必要とする人に順位をつけ、結果、要介護度1、2では利用できず、待機しなければなりません。 

学校給食や保育部門、環境・廃棄物部門も、外郭団体の統合問題なども「行革」の対象にされ、いま、市民が最も必要とする“人としての尊厳”を守り尊重されるための不可欠な部門が、「行政の責任」にほおかぶりしたまま切り捨てられようとしています。

 無責任な行政当局の指示のもとに仕事をさせられ、苦情は現場で働く私たちに寄せられるという事態は許されません。自ら市民に訴えかけ協働して、「住民自治」を守る闘いの1年になると決意を固め、共に頑張りましょう。

 

自治体改革を市民と共に歩む

新春座談会

公共サービスの危機に  自治体労働組合は何ができるか

「民の力が存分に発揮される都市・横浜」の実現を基本目標とする中田市長は「横浜リバイバルプラン」を掲げ、福祉・医療などの分野から自治体業務の民営化を進めようとしています。

その結果、そこで働く私たちはもちろん、施設の利用者や入所者、市民生活に大きな影響がでてきます。しかし先行きが不安定で不透明な時代だからこそ、自治体はセイフティネットの役割を果たしていかなければなりません。

それぞれの立場から、自治体職員の労働組合として「どうしていくべきか」を討論していただきました。

 

市民との共闘で公共サービスの危機を乗り越えよう

司会「それぞれの現状について、お願いします」

福士「いよいよ大都市や県単位で公共サービスを切り捨てられていく局面に入ってきました。地域で住民と共闘して取り組みを進めなければならない時代です」

高梨「公的サービスは危機的な状況に置かれています。公的サービスを市民と一緒に改めて創り上げていくことが、今問われています。市役所に働く人すべてに不安が広がっています。さまざまな課題について、みなさんと連携し、一緒に取り組んでいきます」

谷合「港湾病院は年を重ねるごとに修繕、建て増しでここまで大きくなり、医療内容も充実され、愛着もひとしおです。

新市長の突然の検討委員会設置、中間答申に病院内は大混乱しています。

港湾病院では組合への期待が大きく、組合を中心にまとまっています」

押野「昨年12月に衛生支部と福祉支部が合流して福祉保健支部になりました。横浜市に就職した頃は、保護者と職員の間にまだまだ壁がありました。親も職員も子どもも繋がり合える保育園にしたいと労働組合の役員になりました」

 

まず民営化ありきが明らか

司会「私たち自治体の職場が今ほど、ドラスティックに転換を迫られることはなかったと思います。公共サービスはどう進むべきか。自治体の役割としてセイフティネットがあり、市民が安心して暮らしていける横浜市を創っていかなければなりません。

中田市長の『リバイバルプラン』では自治体の役割と分担を根本から見直そうとしています。『民の力を存分に発揮』するため人件費を削減していく方向には疑問を持たざるを得ません」

押野「昨年の101日、特養2ホームを廃止・民営化するという提案がされ、闘争委員会を中心に反対の取り組みを進めましたが、福祉局の姿勢は強硬です。

  実質的に9千人近い入所待機者がいます。公営ホームとして入所困難者を受け入れるなど役割を果たしています。他支部の協力もあり短期間で1万9千人近い署名を局に提出することができました。 

保育園にも児童福祉審議会の中間報告が1030日に出され、『まず民営化ありき』が明白です。全国的に民営化は進んでいますが、中でも横浜の『中間報告』は一方的な内容です」

谷合「昨年1212日にあり方検討委員会で『港湾病院についての最終答申』が出されました。新港湾病院は外観がほぼ完成、人員も先行配置されています。基本構想から8年間かけてきたことを、検討委員会はたった4か月でどうして急いで結論を出さなければいけないのか、根拠がわかりません。民の力が存分に発揮されることは、イコール民営化ではないはずです。

先行したマスコミの報道で職場は不安で混乱しています。自分たちの仕事・身分の問題ですから、当然です。その度に心強いのは、仲間が大勢いることです。健福闘争でも、医療職場が手厚くされてきたことを実感しています。直営で開院するため、病院支部は1月、2月にも総出の住民宣伝行動、やシンポジウムにも取り組みます。屈服せず、がんばります」

 

数字のマジックが前提の検討委答申

司会「2001年6月の市議会で港湾病院直営が決定されてきましたが、今後市会の中で『あり方検討委員会』の答申はどう議論されていくのでしょうか」

高梨「2001年6月の市会では、全会一致で直営が採択されました。今回の検討委員会の中間答申では『@移譲による民営化(売却)A公設民営(民間委託)B地方公営企業法の全部適用』となっています。これを受け市長は順番通りに検討していくと言っています。仮に民営化を選択するとしたら、衛生局のこれまでの責任は厳しく追及せざるを得なくなるでしょう。

市長がどの案を選択して市会に議案として提出してくるのか、2月の予算議会までに判断がつくのかも疑問です」

司会「答申の問題点はどこにあると考えていますか」

高梨「まず前提となっている『30億〜40億円の赤字』という話の一人歩きです。地域中核病院と比べ市立病院の一日あたりの入院費用は約7千円安いのです。衛生局に質問したところ、中核病院並にすれば、一般会計からの投入額は半額になるという。更にいろいろな努力をすれば、赤字はもっと減ります。その一方、不採算医療や政策医療などは現在の診療制度の問題もあるので、ある程度の一般会計からの投入は必要だと思います。30億〜40億円は港湾病院のベット数が大幅に増えることから試算された数字なのです。

民間病院で受け入れが難しい患者が市立病院にきているのも、現実です。その役割をどうしていくのかは大事な問題です」

高梨「中田市長の中期財政プラン自体が数字のマジック。歳入不足だけを5年間分みせ、市民が民間委託を後押しするような雰囲気づくりをしているのです」

 

自横は市民や議会に運動広げる

司会「この厳しい状況下で自治労横浜としてどう進むべきだと考えていますか」

福士「港湾病院や福祉施設も、保育所や学校給食の問題も非常にドラスティックに出されている。私たちの身分保障や将来設計のことが目の前に出され、労働組合としてはまずそのことを交渉する必要があります。

  お金がない、民の力などと言われているが、『市民税は何のために払っているのか』を市民に問いかけることが必要。病気になったり、年老いたり、子どもが育つ上で自治体の公共サービスが必要だからでしょう。

  港湾病院も施設もそうですが、当局は自分達がこれまでどういう経営努力をしてきたのかということに一切触れず、責任を問われないよう、市税の投入額が大きいということばかり言っている。病院も介護施設も民間と共存しています」

福士「医療に関して言えば、今までの医療制度改革で果たして良くなったのか。今は本人3割負担になっている。これは、民間の医療関係者が働きかけて行ってきた。薬も安くならないで、負担だけが増えてきています。

介護で言えば、介護保険料を払って加入しているのに、どうして待機者が出るのか、どうして優先順位をつけられなければならないのか。施設整備が追いつかない、施設を利用できない状態にさせられているということ。介護制度をどうするか考える前に施設廃止、医療制度が矛盾だらけなのに民間に移譲、となっている。ヨーロッパに比して日本は、公共サービス部門の人員が少ないと、ILOでも問題にされている。そのことに全く目が向けられない。労使交渉の中でも触れていきます。

医療も介護も、利用者のニーズはどうなっているのか、もっとはっきりさせることが必要です。こうした取り組みを重ね、議会や市民・地域に運動を拡げることです。マスコミも当局側の都合の良い主張しか取り上げていません。私たちも言うべきことは、発表していかなければ」

 

公と民、それぞれの良さを活かした役割分担を

司会「『民の力を存分に』と聞く度に、実際は本当の市民の気持ちと離れたところで物事が決められていると感じます。市民に問いかける運動が必要です。また、それに連携できる私たちの運動を創っていかなければなりません。みなさんの、今年の抱負をお願いします」

押野「福祉の施設、保育所で言えば『地域に開かれた保育園』という自治労の指針に沿って取り組んできました。障害児の受け入れや育児支援は評価できると、児童審議会の中間とりまとめにも書かれています。保護者との関係も改革の途上にあるのに、コストのみが理由の民間委託で努力が全て無駄になってしまうのは耐え難いことです。

経験年数の多さを活かして、今大変になっている子育て支援などもできればと考えています。行政との連携や、地域での保育所のネットワークの中心として公立保育園はまだまだ必要です。

  子育て支援のNPOも、公立保育園を使って自分たちの取り組みができると期待しています。それこそが民と行政のパートナーシップ、その現場を無くしていって行政と市民とどう繋がっていくのか非常に疑問です。市民へのPRもしていきたい」

谷合「公と民の役割分担は、それぞれの良さを生かした形で。両方が必要ということでやってきました。公立病院だから、どんな患者さんも受け入れてきました。それはそのままに、効率性を追及していけば、いい形の医療機関ができるのではないでしょうか。民間でできない部分を公立でやっていく役割分担が必要です。効率性を追及しつつ、質を落とさず、事故を起こさないでこれからもやっていきます」

高梨「4月13日投票で統一地方選挙が行われます。3期めの議席を確保するため奮闘中です。自立した市民と行政、市議会がお互いに対等の社会を実現するため取り組んできました。

市長が言う『民の力が存分に発揮される都市』はヨーロッパの自立した市民社会をめざす方向とは違って、本質は行政主導で進められています。

  私は区への権限委譲を早くから主張してきました。より良い地域社会の実現には重要なことです。引き続き、頑張ります」

福士「『民の力が存分に』と言って、そちらに税金を全部回し、民間に金を切り回す役人だけが残る市役所にするのではなく、公としてやるべきことがあるはず。厳しい財政状況の中、何を優先していくのかを提起しないままやるのはおかしいと行政懇話会でも主張しています。

  今の不況は物が売れないこと。雇用や介護、病気など、不安があるために使わず貯めておこうと個人消費が冷え込んでいる。行政が生存に関わる分野について、市民が安心して暮らせるような施策をしていかなければいけません。今の政策は逆転しています。私たちは絶えず『横浜市のやろうとしていることは、不況対策にもならないし、自治体の財政も効率化されず、民間に流れるだけ』ということを主張していかなければならないと考えます」

参加者プロフィール

高梨 晃嘉さん  横浜市議会議員(南区選出)

  1971 環境事業局に就職/73   環境事業支部執行委員/1990   自治労横浜執行委員/1995   横浜市議会議員

モットーはとにかくよく動くこと。03年の抱負は、3期目の議席確保。

福士 博美さん  自治労横浜中央執行委員長

1965 横浜市環境事業局に就職/71年〜 環境事業支部青年部役員/73年〜 支部執行委員/97年〜2001 自治労中央本部現業局長(2期4年)/2001年〜 自治労横浜委員長

03年の抱負

社会状況が厳しい時にこそ、労働組合活動がその存在意義を高め、光り輝くものでなければならない。仲間の団結をより強く、より拡がりゆくものにしなければと思っています。

谷合 幸乃さん  病院支部副支部長  看護師

1980 衛生局港湾病院に勤務/港湾病院分会の役員を経て1994 病院支部執行委員/2002 支部副支部長

趣味は仕事!としたいです。モットーは、人生一度きり、やり残しをしない。

03年の抱負は、後悔だけはしない。

押野 成美さん 福祉保健支部支部長 保育士

1978 横浜市に就職/95年〜支部執行委員/2002 福祉保健支部支部長

 「何事もやるからには楽しく」がモットー

03年の抱負は、このような大変な時期に支部長になり、気を引き締めていかなければと思っています。足りないところだらけですが、精一杯チャレンジします。自分の目で見、自分の心で感じていくことを、これからも大切にしたい。

司会  内山 幸子さん  自治体政策部長

  1974 神奈川区役所に配属/その後、経済局に異動/88 経済支部執行委員/91 女性部書記長、女性部長/97 中央執行委員/99年〜 常任中央執行委員

モットーは「あきらめないこと」

03年の抱負は、職場に根ざした政策提言を進められる自治研センターをつくりあげること。

 

特別執行委員からの年賀状

自治労横浜特別執行委員  参議院議員  斉藤 つよし

    新年あけましておめでとうございます。

昨年中も「小泉内閣」の弱者切り捨て政策に真っ向から対決姿勢で臨んできました。

民主党も菅代表を中心に、与党との対決姿勢を強めていきます。

引き続き、働く者の代表として国会で、地域で、奮闘してまいります。

みなさまの、熱いご支援をよろしくお願いいたします。

自治労横浜特別執行委員   横浜市議会議員  高梨 晃嘉

自治労横浜のみなさん。新年あけましておめでとうございます。

今春は、いよいよ市議会議員選挙を迎えます。

3期めの議席を確保し、区への権限・財源移譲など地方分権・自立した市民社会実現を進めなければならないと考えております。

自治労横浜はじめ、市役所で働くみなさんと連携し、共に歩んでまいります。

引き続き、ご指導・ご鞭撻をお願いいたします。

自治労横浜特別執行委員  横浜市議会議員  野村 政晴

  あけましておめでとうございます。

  自治労横浜のみなさんの日頃よりのご支援に、心より感謝いたします。

  本年も、みなさまのご指導・ご協力をお願いいたします。